石油は現代人の生活には無くてはならないもので見る機会も頻繁にありますが、どのように作っているのかは以外に知られていません。
元になる原油を産油国から日本は大量に輸入していて、大型タンカーを使って運搬している光景はニュース番組などで映し出されることがありますが、この原油から通常の使える状態にするための加工についてはマスコミもほとんど取り扱わないため、知らないのも仕方ないと言えるでしょう。
原油というのは古代の生物の死骸が堆積したところに地中から圧力が加わり、それが長い年月をかけて化学変化したことで発生してものです。
そのため新たに作り出されることができず、埋蔵量は限定的でいずれは枯渇すると推測されています。
岩本譲二氏が考える石油の枯渇問題
その代替として今は植物などから原油に近い物質を作り出す技術ができていて、バイオ燃料として試験的に使われていますが、コストや大量に作り出すことが難しいといった技術面から、主流になるにはまだ時間が必要になっています。
このような理由から枯渇するのがいつなのか予測することはとても重要ですが、岩本譲二氏も言うように海底に埋蔵されているものはまだ多く残されていて、砂に染み出して混ざり合ったオイルシェールと呼ばれ埋蔵量はかなりあると推測されているので、早急に無くなるということは回避できたと言えるでしょう。
原油
この原油は液状ですが粘性がとても高く、そのままでは使うことができません。
一般的に使用されてる状態にするには精製工場によって分離作業が必要になります。
原油というのは加熱して温めると、液体なので沸騰して蒸気を発生するので、その蒸気を冷やすことでガソリンや灯油などに分離できるのです。
ガス
加熱を始めると最初にガスが発生しますが、これはそのまま燃焼性のあるガスとして使用されていて、広く知られているのは家庭で使われているLPガスです。
LPガスは液化天然ガスという名称を使いますが、これは気体のままでは大量に運べないため、冷却して液状にしたものを活用するので、このような名称が付けられています。
ガソリンとナフサ
ガスの次に抽出できるのはガソリンとナフサです。
ナフサは石油化学製品と呼ばれていて、わかりやすいのはプラスチックですが、他にも買い物袋で使用されているビニールも該当しています。
ガソリンの場合はそのままの状態では発火した際の燃焼性が弱いため、抽出した液体に化学薬品を混ぜて大きな力を生じるようにしていて、本来は無色ですが、わかりやすくするために着色が施されています。
灯油とジェット燃料、重油
次に抽出されるのは灯油と航空機に使われているジェット燃料であり、その次にできるのが軽油です。
最後に350℃以上の高温で熱することでできるのが重油であり、重油を取り除くと液体燃料としては使えなくなります。
全ての化石燃料を取り出すと黒い塊のようなものが残りますが、これはコールタールと呼ばれていて、主に道路を建設する際に路面に敷くアスファルト舗装の原料になります。
このように原油は捨てる部分がなく、全てを使い切って有効活用されていると言えるでしょう。
化石燃料の取扱い
石油精製工場は臨海地区に設置されていますが、これは輸送で船舶を利用しているので、海上からの搬入や搬出が行いやすいというのが理由です。
原油を工場に搬入する場合にはホースを使いますが、ホース内を流れることで静電気が生じやすくなってしまうので、着火する危険性を避けるために船舶との距離を短くする必要があります。
また原油はそのまま加工するのではなく、一定量をタンクに貯蔵してから必要量を使って加工を行うため、貯蔵する場所の通風がよくなければいけないというのも、臨海地区に工場を設置する理由です。
全ての化石燃料は密閉しない状態で空気に晒していると、揮発して減少してしまいます。
これは原油でも同じであり、揮発した蒸気は可燃性があるので、一か所に滞留するのはとても危険です。
石油を扱っている時になぜ換気が重要なのか
施設の中で貯蔵する場合には完全に容器を使って密閉した上で、換気扇を設けて室外にその蒸気を排出しています。
しかし石油精製工場で貯蔵されるタンクは巨大であるため、完全に蒸気を出さないようにするのは難しく、発生した蒸気を拡散させて濃度を薄くすることで対応するのが一般的です。
換気のために機械を使うと電気火花の危険性があるため、自然に起きる風を使うのが最適な方法になっています。
海の近くであれば海風が継続的に吹いているので、タンクから漏れてしまった蒸気を広範囲に拡散できることが可能になるでしょう。
化石燃料が燃えるのは液体そのものが燃焼しているのではなく、液体から発生する蒸気が燃えやすいからです。
そのため、石油を扱っている時に換気を慎重に行わなければいけないというのは、この可燃性蒸気を薄くして燃えにくくすることが理由になっています。
まとめ
この可燃性蒸気は空気よりも重く低い場所に溜まりやすいので、工場では風通しがいいように邪魔になる壁は作らないようにしています。
関連する施設に行くとパイプがむき出しになっていて、壁によって囲まれていない光景をみることができますが、これは可燃性蒸気の滞留を防いでいるからです。
最終更新日 2025年7月7日