長期で社員扱いの待遇を翻訳業で求めようとしてもなかなかそのような求人はありません。

しかし、翻訳の仕事を紹介しているサイトに登録したり、出版社に自分の得意分野を自己紹介がてら持ち込んでおけば、単発での仕事を紹介してくれることがあります。

何も、小説や難しい本を訳すのだけが翻訳の仕事ではありません。

個人のちょっとした手紙を訳すとか、ホームページを訳すとか、仕事関係の文書を訳すとか、短くて簡単な仕事は結構あるものです。

私は英語を日本語に訳す方向の仕事だけが可能と登録しているため、しょっちゅう仕事があるわけではありませんが、海外のサイトで日本語から英語へ訳す仕事を請け負っている友人は結構な頻度で仕事があると聞きました。

私が主に好んで応募しているのはホームページを訳す作業と、絵本や雑誌などの子供むけのコーナーを訳す仕事です。

どちらも自分が興味のあるものだと、お金に関係なく自然に訳して読みたくなります。

普段日常生活で忘れそうになる英語を読む力を保つためにも簡単な英文を読んでおくのはとても役に立ちます。

英語は一昔前は特別なスキルでしたが、今ではもう誰でも簡単なものは読む事が出来たり、多少のコミュニケーションは取れたりするのが普通で、特別なスキルではなくなってきました。

英語が一般的になってきたのは嬉しい事ですが、自分の大切なスキルが特に役に立つものではなくなった事は少し寂しく感じていました。

でも、インターネットの普及のおかげでちょこっとした翻訳を請け負って、少しお小遣い程度でも収入を得ることができるようになったのは大きな喜びです。

こういったサイトがあることを知ったおかげで、自分が普段ただ生活しているだけでは入ってくることのなかったであろう情報に触れることもできます。

アメリカでは今、こんな記事が読まれているんだな、とか、こんな物が流行っているんだな、とか、表現の仕方も昔と変わったな、と一つ一つが新鮮で、そういう情報に触れさせてもらえるだけでも、このスキルを持っていて良かったと思えます。

翻訳で一番気を付けなくてはならないのが、どの日本語を当てるのが最適かを小さな単語一つでもおろそかにせずに考える事だと思っています。

have一つでも、日本語に置き換えると、何かを持つ、兄弟などがいる、ペットを飼う、食事を摂るなど、状況や場面によって色んな意味に使われます。

動詞はまだ前後を読めば選択すべき言葉が自然にわかるので間違いは少ないのですが、形容詞、副詞など気を付けなくてはならないことが多々あります。

日本語に置き換えにくい言葉というものもあります。

情緒がある、という言葉にぴったりな表現が英語では見つからないように、お互いの文化、宗教などの背景に由来する独特の言葉は訳すのが難しいです。

色も、日本では山吹色だとか、群青色だとか、色と色の間の色が細かく分かれていますが、英語ではどれもまとめてyellowやblueです。

同じように、日本ではまとめてしまう言葉が英語では細かく分かれていたりと、そういう違いを埋める作業が訳すことの醍醐味だと思っています。

チェックを受けて通る通らない以外に、自分が訳した文章を読んだ人がどう感じたか、知る機会はほとんどありませんが、誰かが私の訳した文章を読んでくれていると思うと嬉しいです。

名前が出るような翻訳者にはなれませんでしたが、読めない人にはただのアルファベットの羅列でしかないものを、私が入ることで読んでもらえる文章に変える事は出来るようになりました。

いつかはコンピューターにとって代わられる儚い役割かもしれませんが、必要としてくれる人がいる間は金銭にかかわらず役立っていきたいです。

最終更新日 2025年7月7日