不動産や車など、大きな買い物をする際に必要となるものが実印です。

これは、自分の住所がある市区町村の役所で登録した印鑑を言い、それぞれの市区町村で異なるものの、基本的には戸籍上の姓名(フルネーム)が彫刻されたを印鑑が登録できます。

そもそも日常生活において実印を使用する場面があるかと言うと、まずありません。

なぜなら、使用する機会が極端に限定されるからです。

例えば、マイホームなどの不動産、あるいは車やバイクといった車両などを購入または売却する際の売買取引が代表的なものであり、それ以外にも不動産に係る登記や相続時の遺産分割協議書、ローンなど金銭に係る契約書や貸借証書、あるいは法人の設立時、公正証書を作成時、保険金などの受領時、官公庁での手続きなど、多くの重要な書類で使用する機会があります。

実印を使う場面

しかし、その多くは日常的に行われるものではありません。

一生のうちで使用する機会は、少なければ誰であっても起こりうる相続の際に、遺産分割協議書に押印する時ぐらいしかありません。

また、押印しただけでは確実な効力があるとは言いきれません。

その契約に確実な効力を持たせるには、印鑑登録をしていることを証明する印鑑証明書を契約書などに添付することが必要となります。

【本人が登録した印鑑】で、それを【公的に証明する書類があり】、【本人が押印】することで、本人の意志を公的に証明することとなり、押印のみの場合と比べて、その契約などの諸手続きに、より強固で確実な効力をもたせることになります。

そのため、実印を押すという行為は、法律上あるいは社会上の権利または義務を発生させることになりますので、宅配便の受け取り時に使用する認め印などとは違い、印鑑の中でも最も重要なものの一つと言えます。

その印鑑登録は、15歳以上の者に、一人につき一本の登録が認められていて、外国人であっても外国人登録がされていれば印鑑登録をすることができます。

登録できる印鑑の大きさは、多くの市区町村で8mm以上25mm以下の正方形に収まるサイズとされています。

実際には、姓名(フルネーム)を彫る場合が多いので、あまり小さなサイズの印鑑では彫刻が難しく、一般的に16.5mmから18mmの印鑑が使用され、女性であればそれより一回り小さいものが使用されることが多いです。

なお、シャチハタをはじめとしたゴム印などの変形しやすいものや、押印した際に文字が判断できない、あるいは鮮明ではないもの、印鑑の輪郭がない、または印鑑の一部が欠けているものなどは、印鑑としての機能を果たしているとは認められないため印鑑登録をすることはできません。

シャチハタ

また、引越しなどでその市区町村から転出した場合は、その印鑑登録も無効となりますので、引越し先の市区町村で新たに登録をすることになります。

なお、重要な印鑑ですので、転出の際は印鑑登録廃止申請書も同時に提出すると悪用される心配がありません。

では、それだけ重要性の高いものを、万が一、紛失してしまった場合はどう対処すれば良いでしょう。

繰り返しになりますが、実印はそれ単体でも重要性の高いものですが、印鑑証明書とセットで使用されると、より確実な効力を持ちます。

もし、盗難の際に印鑑証明書が発行できる登録カードを一緒に盗まれた場合、本人以外の第三者であっても印鑑証明書を取得することができます。

そうすると、紛失した本人になりすまし、多額の金銭を借りる契約を結ばれたり、あるいは所有している不動産の移転登記をされ所有権を失ったり、重大なトラブルに巻き込まれる可能性が非常に高いです。

また、不正に交付を受けた印鑑証明書であっても、それを使用することで発生した契約に対する責任を免れることは、非常に難しいと言えます。

そのため、登録した印鑑を紛失したことが判明した場合は、何よりも先に役所に紛失した旨の連絡するとともに、紛失届を提出して印鑑証明書が交付されないようにすることが重要です。

印鑑証明書の交付を止めたら、次は新しい印鑑を用意して新たに印鑑登録をする改印届を提出します。

これを行うことで、紛失した実印の効力を完全に無くし、悪用されることを防ぎます。

もし、しばらくの間、使用する機会がないのであれば印鑑登録廃止の手続きをした方が良いでしょう。

盗難や紛失、管理などのリスクを考えると、印鑑登録をしないことが何よりの対策になります。

また、紛失届などの手続きよりも先に悪用された場合の対策として、警察にも紛失届または盗難届を提出することも大切です。

万が一、重大なトラブルに巻き込まれたとしても、あらかじめ警察に届出をしておくことで、そうしたトラブルに対するリスクを軽減できます。

つまり実印を紛失した場合は、電話でも構わないので、まず役所に連絡して、それから紛失届、廃止届、改印届を提出します。

そして警察にも紛失届、盗難届を提出して、重大なトラブルに対するリスクを減らす対策をしましょう。

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最終更新日 2025年7月7日